8月17日(月)、東京・新宿武蔵野館にて映画『Man』の先行上映舞台挨拶が開催され、W主演の宇野祥平、萩原護、そして前田弘二監督が登壇した。本作は出会って25年、共作25作目を数える前田監督と宇野の記念碑的タッグ作で、正体不明の男に拉致された犯罪青年の奇妙な共同生活を描くサスペンスコメディだ。本上映会は本作が観客に初披露される場であり、満席の会場は温かい拍手に包まれた。イベントでは、作品へのこだわりや撮影の裏話などがユーモラスに語られた。
タイトルにちなみ、“マン”デイ=月曜日に行われた今回の先行上映。当初から「お披露目の場は満席に!」を目指していた前田監督は、めでたく満席となった会場を見渡し、「本当に嬉しいです」と万感の表情。続けて、本作が自身にとって初の単独脚本作品であることを明かし、謎の男が突然日常に入り込んでくるという本作の奇妙なアイデアの出発点を語った。「約5年前にプロデューサーから誘われ企画を立ち上げる際、ずっと宇野くんに短編映画や商業映画、ドラマに出てもらってはいたものの、長編映画の主演はやってもらったことがないな、と。刑事やヤクザ、ラーメン屋などいろんな役を演じてくれましたが、初めて“謎の男”というキャラクターに設定しました。すごくミステリアスな、尽くしてくるけれど理由が分からない、怖くておかしい世界観を目指しました」。加えて、その異色のキャラクターを「道具を持たないドラえもん」と表現し、世代の異なる者同士が織りなすサスペンス要素を含んだバディものとして脚本を書き進めたという。
謎の男に尽くされる青年・小田を演じた萩原は、脚本を読んだ際の印象について「謎が多くて緊張感がある一方で、しっかりとした日常があるファニーさが素敵だった」と述懐。また、宇野も「非常に面白く、監督や萩原くんとの出会いも含めて自分のこれまでの出会いを思い出す脚本だった。監督の初期の自主映画はどこかの映画祭に出すわけでもなく、ただひたすら情熱をもって撮っていましたが、『Man』はその頃の面白さと、これまで監督が様々な作品で得た経験がミックスされている感じ」と振り返る。
劇中で独特な関係性を構築していった宇野と萩原だが、役柄についての事前打合せやリハーサルは全く行わなかったという。代わりに、撮影現場に入る前にお茶を飲み、何気ない雑談を重ねたというほっこりエピソードが明かされた。2人の共演をすぐ近くで見ていた前田監督は「2人、めちゃくちゃ良くないですか?(笑) カットをかけるのを忘れるほど、ずっと見ていたくなるお芝居だった」とその卓越した演技力と信頼関係を称賛。続けて「ラストは、脚本を書いていた時よりも、爽やかな感じで終わった」と監督が語ると、宇野は「萩原くんのおかげで爽やかな映画になった」と笑顔。
そして話題は、“謎の男”が小田に尽くすという展開にちなみ、それぞれが焼きたいおせっかい、尽くしたいことは?というトークへ。宇野が萩原に「年齢も離れているので難しいですが、これからも誘っていい…かな? 喋らなくてもいい関係だと僕は勝手に思っています」と振ると、萩原も「宇野さんには撮影以降も尽くしていただいてます」と嬉しそう。そんな萩原は監督に対して「前田さんは今、SNSで『Man』の漫画を描いていらっしゃる。それがすごく良くて、僕がTシャツにしたいです」と宣言。そして宇野は、昔、前田監督とお互いに生活が苦しく、電気が止まりそうな時にお金を融通し合ったエピソードを披露し、「なんか困ったことがあったら言ってください」と会場を笑わせた。前田監督は「これからの作品で2人のもっとさらに違う面を描くことで尽くせたらと思っています。続編『Man2』とかどうですかね(笑)」と笑みを交えながら明かした。
トークの最後には、9月11日の全国公開に向けたメッセージが送られた。宇野は「これは出会いについての映画であり、観た方が自分の大切な出会いを思い出すきっかけになれば嬉しい」と観客へ語りかけた。萩原は「心が豊かになる作品。物語の核心である謎の男の目的については秘密にしつつ、口コミを広げてほしい」と期待を込めた。前田監督は「価値観や世代が違っても関係は築けること、また目的が叶わなくても別の花が咲くこともあるという思いを込めた。謎の男の真の目的を知ってからもう一度見返すと景色が変わるため、何度も楽しんでほしい」と総括し、大盛況のイベントを締めくくった。